UMAJOの奥の開かずの扉
まるぃもさんの「一口馬主アドベントカレンダー」に参加させて頂きました。
すでに公開されている記事は素敵なものばかりなので、皆さまぜひお読みくださいませ。
本日は一口馬主3年目、面白いこともためになることも言えないミモザが、日々上がる記事へのハードルをくぐる形で担当いたします。
時は2019年。競馬を始めて10年目。
馬券は相変わらず散々で、競馬を嫌いになったわけではないけれど、馬券に対するモチベーションは少し薄れていた。
重賞くらいは見るし、Twitterやオフラインで仲良くしてくれる人たちと話すのも楽しくて、ゆるっと続けていた。
そんな中昔の会社繋がりで競馬好きが集まるLINEグループのメンバーがみんな一口を始めて日々盛り上がっていたので、じゃあわたしもと始めてみた。
岡田総帥のファンだが大した稼ぎもないので、400口でやれるウインにすんなり決まった。
ちなみにわたしが一口馬主というものを知ったのは実は小学生の頃。
父は競馬好きで、昔ダイナースクラブ(現在のサンデーレーシング)で一口をやっていた。
父曰く「走る馬を見抜く自信があった。当時は1頭20口募集で、バックが大きいから儲かると思った」らしい。
当然そう上手くいくはずもなく、父は最終的に会費の滞納をやらかし強制退会させられることになる。嘘だと言ってよ…
(名誉のために言っておくが悪気はなく、メイン口座ではないところから引き落としていたため、本当に残高不足に気づかなかったらしい。もちろんどんな理由でもしちゃダメなんだけど)
わたしの方は運良く紹介してくれる方も見つかり、資料請求してカタログを眺めてみた。
よくわからん。いや、全然わからん。
まず血統表に載ってる馬名の英語すら読めず、スタートラインにさえ立てない。
ひとまずわからないなりにカタログを読み、ムービーを周回し、湧いてきた疑問を調べ、どんな風に成長していくか思いを巡らせる。
出資馬を検討する、というのは新鮮で楽しかった。
大学生の頃「児童文学」という授業で習った
「子供が自分の手で絵本のページをめくることは、自分自身の世界を切り拓いていくのと同じことだ」
という一節を思い出した。
目の前に広がる新しい世界はとても眩しくて、今思えばこれが扉に手をかけた瞬間だった。
わたしは自分のことを信じていないので、よく言う「女の勘」みたいなものには頼りたくない。
何かしら自分なりに考えた理由をもとに結論を出したい。
それが間違っていたって別にいい。
ただ理屈一辺倒だと面白くなくなるので、勘は入れないけど感情を振り回して2頭に申し込み。
ウインと言えば!なロージズ産駒、大好きな南関所属かつ名前に運命を感じたウインミモザの18と、
競馬を始めたきっかけになったヴィクトワールピサの産駒、ウインブライトと同じコジーンの血を持ち、何より馬体の見栄えがよかったノーモアクライの18。
どちらも新規の抽選20口で取れたのも運がよかった。
今年だったら確実に無理だったはず…
ウインに入ってから会員さんとお話することも増えた。
そしてこれは声を大にして伝えたいのだが、
わたしが一口楽しくなったのは間違いなくフォロワーさん各位のおかげ!!
めちゃくちゃ勉強してる人、出資馬への愛情だだ漏れな人、なんなら情熱が抑えきれなくて頭がちょっとアレな人も見かける(褒めてます)
一口は楽しもうとすればするほどお金や時間といったコストがかかる。
それでも言葉の通じない馬と向き合い、時にはタガが外れたようにポチってしまう。
普段はいい大人として生活しているであろう人たちをこんなにも狂わせる。恐ろしい趣味だ。
沼の奥底から届けられる言葉をタイムラインで眺める。
それらはどれも熱くて尊くて愛しくて、たまに泣いたり笑ったりさせてくれる。
面白いこともためになることも言えないわたしと仲良くしてくれて嬉しいし、わたしも何か還元できるような人になりたいなぁと勝手に思う。
余談だが一口垢さんのツイートでびっくりしたのは「◯◯(産駒、厩舎、生産など)総流し」という概念と「(実績を積みたいから)出資する」という祈りだ。
いったん冷静に考えてみてほしい。
それ、おかしいですよ。
時は流れ2020年8月16日。
ウインスーリールがデビュー。
これも本当に運が良かったのだが、一口馬主初出走の新馬戦でなんと逃げ切り勝ちを決めてくれた。
仕事中こっそりグリチャを見ていたのだが、TwitterやLINEでお祝いの言葉をたくさん頂いてお昼休みが休みが潰れたのも良い思い出笑
馬券を獲るだけでは味わえない、開かずの扉が確かに開かれた感覚があった。
そしてその扉の奥の探求は、これからも続いていくのだろう。
ちなみにわたしが一口始めたのをきっかけに父もサンデーに資料請求をしたらしいが、断られたという。
20年以上経ち、住所も変わっているのにまだブラックリストにいるのだ。なんという危機管理能力。
やはり競馬はノーザンファームなのか。
というのは置いといて、わたしはこの先一口で叶えたいことがたくさんある。
現地観戦したい、口取りしてみたい、もっとたくさん一口垢の人と仲良くなりたい、重賞やG1を走る姿が見たいなど、数えればキリがない。
でも何よりも出資馬が元気で無事走る姿を楽しみに見届けつつ、皆さんの出資馬の応援もしつつ、数え切れないくらいの「おめでとう」を言い合えたら幸せなことこの上ない。